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右足で二つのペダルを操る基本動作

ヒール・アンド・トウはマニュアル車を運転する上で、非常にスムーズなコーナリングを実現するための代表的なドライビングテクニックです。
右足のつま先部分であるトウでブレーキペダルを踏んでしっかりと減速しながら、同時に右足のかかと部分であるヒールを使ってアクセルペダルを煽るという、二つの動作を同時に行うのが最大の特徴となります。

このとき左足はクラッチペダルを踏み込んでギアをシフトダウンする役割を担います。
ブレーキを一定の力で踏み続けながらアクセルをコントロールする必要があるため、足首の柔軟性とペダル配置に対する慣れが非常に重要になってきます。
車種によってはアクセルペダルとブレーキペダルの高さや間隔が異なり、かかとが届きにくい場合もあります。

その際はかかとではなく足の右半分でアクセルを踏むローリングトウというバリエーションを使うドライバーも多くいます。
まずはエンジンをかけていない停車状態で、右足のつま先をブレーキペダルの中心から少し右側に置き、ブレーキをしっかり踏み込んだまま足首をひねってかかとでアクセルペダルに触れる感覚を体に覚え込ませることが第一歩です。

回転数を合わせるブリッピングの役割

ヒール・アンド・トウの中で最も重要かつ難易度が高いのが、アクセルを煽ってエンジンの回転数を引き上げるブリッピングという操作です。
車は高いギアから低いギアへシフトダウンすると、タイヤの回転速度に対してエンジンの回転数が足りなくなり、そのままクラッチを繋ぐと強いエンジンブレーキが急激にかかって車体が前後にガクガクと揺れてしまいます。

最悪の場合は駆動輪がロックしてスピンを誘発する危険性もあるため、これを防ぐために空ぶかしを行ってあらかじめ回転数を同調させる必要があります。
ブレーキを踏んで減速し、クラッチを切ってギアを下げた瞬間に、右足のかかとでアクセルをポンと踏み込んでエンジンの回転数を適切に跳ね上げます。

そして回転数がピタリと合ったタイミングでクラッチを繋ぐことで、変速時のショックを完全に打ち消すことができます。
この一連の動作が美しく決まると、車の挙動を一切乱すことなくスムーズにコーナーへ進入できるようになり、同乗者にも変速のショックを感じさせない快適で安全なドライブを提供できるようになるのが大きなメリットです。

公道でも試せる安全で段階的な練習方法

高度なテクニックに見えるヒール・アンド・トウですが、正しい手順を踏んで練習を重ねれば誰でも身につけることができます。
いきなりコーナーの手前で全ての動作を同時に行おうとするとパニックになりやすいため、まずは動作を分解して一つずつ習得していくのが確実なアプローチです。

最初はブレーキを踏まない状態で、走行中にクラッチを切り、アクセルだけを煽ってシフトダウンするブリッピングの練習から始めます。
これで回転数を合わせる感覚とアクセルを踏み込む量の手加減を掴みます。
エンジンの音がどのように変化し、どれくらい踏めば必要な回転数に達するのかを耳と足裏の感覚で覚えることが大切です。

これに慣れてきたら、いよいよブレーキ操作を組み合わせます。
最初は見通しの良い直線の安全な道路で、軽くブレーキを踏みながらシフトダウンとブリッピングを行ってみましょう。
最初はブレーキを踏む力が無意識に強くなったり弱くなったりして車がギクシャクしがちですが、右足のつま先にかける力を一定に保つことを意識しながら反復練習を行います。
焦らずにペダル操作の精度を高めていくことで、自然と足が動くようになります。