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扶助の基本と種類

乗馬における「扶助(ふじょ)」とは、馬に対して騎乗者が送る合図のことを指します。スピードを出す、止まる、向きを変えるといった動作は、すべてこの扶助によって伝えられます。

主な扶助は4つに分けられ、「脚扶助」「拳扶助」「騎座扶助」「副扶助」がそれにあたります。それぞれが担う役割は異なり、状況に応じた使い分けが必要です。

脚扶助は、馬を前に進めたり横に動かしたりする合図で、両脚の位置や圧の強さで指示を出します。拳扶助は手綱を使ってスピードを調整したり、方向を変えたりするときに使われるものです。

騎座扶助は、坐骨や腰の動きを活かして馬の動きを導く方法で、馬との一体感を深めるために重要です。そして副扶助は、鞭や拍車、舌鼓などで他の扶助を補助する役割を果たします。

これらの扶助は単独で使うこともあれば、複数を組み合わせて使うこともあります。合図がバラバラにならないよう、タイミングや力の加減をそろえることが大切です。

各扶助の使い方

脚扶助は、基本的にはふくらはぎを馬体に軽く当てて使います。まずは軽い圧で合図を送り、反応がない場合に段階的に強めるのが基本です。強く蹴るのではなく、馬が圧に反応して動くように促すイメージで使います。

拳扶助は、拳を安定させた状態で、指先を使ってやわらかく手綱を操作します。急に引っ張ると馬に不快感を与えてしまうため、じわっと引いてからすぐに緩めるといった、緩急のある操作が理想です。

騎座扶助は、前へ出すときには坐骨を前に押し出すように使い、減速したいときには体を少し起こして重さを後ろにかけるようにします。見た目はわずかな動きですが、馬はこうした重心移動にも敏感に反応します。

副扶助は、鞭や拍車を使う場面に限らず、舌鼓を鳴らすことで前進を促すこともあります。ただし、どれも強く使いすぎると混乱や拒否反応を引き起こすため、あくまで補助として軽く使うことが原則です。

精度を高めるポイント

扶助は単なる合図ではなく、馬とのコミュニケーション手段です。意図が正しく伝われば、馬の反応はより素直になり、動きも滑らかになります。

大事なのは、常に「最小限の動きで伝える」ことを心がけることです。余計な動きや強すぎる合図は、かえって馬を混乱させる原因になります。小さな反応にすぐ気づけるように、自分の姿勢や感覚にも意識を向けておきましょう。

また、すべての扶助は連携して動くものです。脚と拳だけを意識するのではなく、騎座で補い、副扶助でフォローするといったように、全体でバランスを取ることが求められます。

経験を重ねることで、どの扶助をどのタイミングでどう使えばいいか、少しずつ感覚がつかめるようになります。馬の反応を丁寧に読み取りながら、合図の質を高めていくことが上達への近道です。